2015年09月14日

すごいおいしいスイーツ(?)

以前からといえば言えるけれど、「すごい」という言葉が、間違って使われるケースが多い気がする。
「すごい」というのが、元来は「恐ろしい」という意味で……と、ここで言うつもりはないのだけれど、「すごいおいしいスイーツ」はだめだね、と思う。

文法的にいえば、「すごい」は形容詞で、「すごい」という形をとるのは、終止形か連体形である。
「おいしい」(形容詞)という用言は、「連用形」である、「すごく」を採るべきだということになる。

だから、「すごくおいしいスイーツ」は正解。
「すごいおいしいスイーツ」は、「おいしい」を強調しているのなら間違い。
ただ、「すごい」は、終止形でもあるので、「すごい! おいしいスイーツ!」なら、OK。
この場合、「すごい」で切れているので。

これは、たとえば、
「すごい人が来た」と「すごく人が来た」の相違でもある。
「すごい人が来た」の「すごい」は連体形なので、「人」を修飾する。
人はたった一人かもしれないけれど、その人自身がすごいのである。
「すごく人が来た」の「すごく」は連用形なので、「来た」を修飾する。
一人一人は普通の人かもしれないが、とにかく、大量に来たのである。

言葉は生き物だという意見もあるし、文法なんて所詮後付けという意見もある。
この意見は、いずれも正しいと思う。
ただ、後付けで文法ができているのは、そのように一般化できるほど、言葉を話す人のセンスが共通化できている(できていた?)ということを意味している。
少なくとも「すごいおいしいスイーツ」には、「なんか変だな?」と感じて欲しい気がする。文法的な説明なんて、無視しても良いから。

posted by 麻野なぎ at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感・ことば
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