2010年08月03日

著作権の自動発生と、著作権登録制度

2010年現在、日本では(そして他の多くの国でも)著作権は著作と同時に「自然発生する」と考えられている。
一方で、「ちゃんとした」著作権の登録制度も存在している。ついでに言えば、ちゃんとしていない著作権の登録も、一部の団体で勝手に行われている。

では、自然発生するという著作権に、登録制度が存在するのはなぜだろうか?
それは、著作権が「譲渡可能」なものであることを最大の理由としている。
しばらく前、「著作権の保護期間延長」が問題になったことがある。これを書いている時点では、ひとまず、延長しないという方向にはなったが、このときに、「著作者と著作権者は異なるということを意識して議論しなければならない」という話を聞いたことがある。

実際、「お金になる」ような著作権は、多くは、何とか事務所に譲渡されており、著作者といえども自由に複製できない(著作権者ではないから)という状況だったりする。
この場合、「誰が著作権者か」を明示するために、(ちゃんとした)著作権の登録制度は有用なのである。

さて、問題になるのは、一部民間で行われている、「ちゃんとしていない」著作権登録である。
セールスポイントは、「著作権登録であなたのアイディアを保護しましょう」ということらしいけれど、どうやら、自分が書いた図面やら(アイディアの)説明文やらを、「登録」して、「保護しよう」ということらしい。
しかしながら、著作権ではアイディアは保護されない。確かに、その図面や説明文と「全く同じもの」を作れば、著作権の侵害になる場合もある。けれど、アイディアを表現するのに、全く同じ文面は不要であろう。

これだけの話であれば、単に、「役に立たない」というレベルで終わるのだが、著作権として考えれば、もうひとつ別の問題がある。
要するに著作権の侵害とは、「勝手に複製を作ってはいけない」ということである。
だから、オリジナルの存在を知らずにたまたま同じものを(または類似のものを)作ってしまった……という場合、著作権の侵害とはならないのである。

これは、「依拠性」という概念であり、ちょっと探すと、「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー 事件(昭和53年9月7日・最高裁)」が判例として出てきたりする。
だから、アイディアを保護するために、著作権の登録をしてみたところで、もしも、その図面なり説明文なりを、公開せずに後生大事にしまっておけば、たとえ類似のアイディアが出現しても、「そんなもの(=オリジナル)は、見る機会などなかった。それにアクセスすることなどできなかった」と言われてしまえば、少なくとも、著作権の侵害はいえなくなってしまう。

たとえ、著作権登録を行ったとして、「盗まれないように誰にも見せずにしまっておく」という運用を勧めていたとしたら、それは、著作権侵害という主張を不可能にしてしまうという、ことでもあるのだ。
つまり、著作権の侵害(=無断複製)を主張するためには、逆説的ではあるが、「誰もが見ようと思えば見られる」という状況に置くということが必要なのである。

著作権の場合、たとえ、同じものができたとしても、「知らなかった(それを見る手段がなかった)」と証明できれば、著作権の侵害には当たらない。
一方で、特許の場合、特許は必ず公開されるので、「知らなかった」が通用しない世界ではある。
posted by 麻野なぎ at 12:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 著作権の周辺
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