さて、この記事の趣旨はどちらかというと、雨水に雛人形を飾るという「古くからの言い伝え」は存在しないのではないか。
少なくとも、現在の暦を使わなければ、あまり実情に合わないというそういう主張であります。
まず、「雨水」といえば、二十四節気のひとつです。時々、「旧暦はいいよ、二十四節気なんかあって季節感が……」という言葉も見かけますが、本質的に二十四節気は現在の太陽暦との整合性がよくできています。
旧暦は月の満ち欠けによって日付を決めるというものですが、これだけですと、季節と暦がずれてきます。季節というのは実は、太陽の位置でもあるので、季節とのずれを補正するために、(太陽の位置をよく反映する)二十四節気を利用するというわけです。
(なので、太陰太陽暦と呼ばれます)
そういうわけなので、二十四節気の日付は、現在の暦では毎年ほぼ同じ日付になります。
たとえば、今回話題にする「雨水」は、
2010年〜2012年 : 2/19
2013年 : 2/18
ということになります。
日付がほぼ同じ訳ですから、現在の暦でいう「3月3日」に対して、毎年ほぼ2週間前ということになります。
ですから、現在の暦では、かなり妥当性のある基準だと言えます。
一方で、これが旧暦の時代からというほど古いものであるかといえば、旧暦の日付は(現在の暦に対しては)一定しないという事実があります。
たとえば、旧暦の3月3日は、現在の暦では、
2010年 04/16
2011年 04/05
2012年 03/24
2013年 04/12
となります。
2010年などは、(現在の暦で)4/16の当日に備えて、2/19には飾り付けをするということになってしまいます。
さらにいえば、雨水に雛人形を飾るというのと併せて、啓蟄に雛人形をしまうという話もあります。
こちらは、明らかに現在の暦の産物だと言えます。
というのも、啓蟄はこれまた、現在の暦では、日付がほぼ一定しており、3/5頃です。
これまた、3/3 に節句を済ませた雛人形を(それも早めに)しまうというのには、いい目安です。
しかしです、上述の通り、旧暦の3月3日は、一番早くても(現在の暦では)3月の下旬です。
そう、啓蟄より「後」のことなのです。
もちろん、「旧暦の啓蟄は旧暦の3月3日より後」ということはありません。
啓蟄自体、「2月節」とされ、啓蟄の日は旧暦では2月にあるのですから。
2011年02月18日
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そうしたらおばあちゃんがお雛様は雨水に飾るんだよ〜雛祭りは4月3日なんだよ!
っていう驚きを教えてくれました。日本は、狭いけど、広いなぁと思いましたo(^-^)o
4/3というえば、月遅れのひな祭りということになるのでしょう。
これも、新暦に切り替わったときに、「だいたい」旧暦に近いあたりで、しかも毎年同じ日付になるということで、割と行われているということのようです。
それにしても、雨水からは結構日があるかと思いますが、そういう地方も、あるのですね。