2012年2月28日に、厚生労働省から平均寿命のデータが発表された。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/tdfk10/dl/02.pdf
これを受けて、早速3月1日のニュースで、「長野県が最も長寿」というニュアンスの報道がされていた。
また、「長寿といえば沖縄」というイメージがある(ない?)にもかかわらず、沖縄の男性の平均寿命は全国平均をわずかに下回るという事実もある。(女性は3位)
今回は、これを考えてみたい。
さて、まず、「寿命」という言葉に対して、多くの場合、(いわゆる)天命をイメージすることが多い。
しかし、統計上の「寿命」というのは、あくまでも、亡くなったときの年齢であり、幼い時に事故で、あるいは病気で亡くなった場合も、「寿命」であることはいうまでもない。
さらに、「平均寿命」という言葉からうけるイメージがある。
例えば、平均寿命が80歳と聞けば、「今生きている人が、平均して、80歳まで生きるということなのかな」というイメージを抱きやすい。が、これも、実は、平均寿命の定義からは外れている。
平均寿命の元になるのは、「今(たとえば、60歳)の人が平均してあと何年生存しているか」という、「平均余命」である。
もちろん、平均余命はそれぞれの年齢毎にあり、平均寿命とは、「0歳の人の平均余命」として定義される。
ということは、既に、60歳になった人が、どのくらい生きられるかというのは、「平均寿命」の数字とは直接関係しない。
一方で、平均寿命には、乳児期の病気・事故、あるいは、若いときの事故による死亡も盛り込まれている。
統計的にいって、1歳で病死してしまったという場合、平均寿命を引き下げることになってしまう。
具体的な例に入ろう。
上述のページには、「主な年代の平均余命」というものもある。
この男性のデータをピックアップすると、
沖縄 0歳:79.40 20歳:59.94 40歳:40.77 65歳:19.50 75歳:12.35
長野 0歳:80.88 20歳:61.31 40歳:42.13 65歳:19.71 75歳:12.05
ということで、長野県は、確かに75歳を除く年代で、平均余命がトップということになっている。
沖縄県は、65歳で、長野県につぐ全国2位、75歳では逆転して、全国トップという結果だ。
これは、やはり、沖縄県男性では65歳に達するまでの死亡率が比較的高いという事実を反映しているのだろう
(といっても、沖縄県男性の平均余命は全国平均を下回っているわけではない)
逆に、既に75歳になっている人という見方をすれば、沖縄県の方が、余命は長いと言えるわけである。
だから、普通にイメージしやすい「年を取ってからの天命」というものを考えれば、「沖縄県は長寿」というイメージにもつながわるわけである。
ひきつづき、女性のデータを見よう。
沖縄 0歳:87.02 20歳:67.49 40歳:47.98 65歳:24.89 75歳:16.46
長野 0歳:87.18 20歳:67.42 40歳:47.82 65歳:24.36 75歳:15.63
0歳の人の平均余命、つまり、平均寿命は、確かに長野県が沖縄県を上回っている。
しかし、他の年代では、沖縄県の方が上回っており、75歳の人の平均余命においては、長野県は、全国11位になっている。
先に述べたとおり、既に成人に達した女性は、沖縄県の方が余命は長いという結果になっているのである。
男女とも長野県が平均寿命トップというのは、データとして間違っていない。
しかしながら、75歳における平均余命が、全国で11位であるというのは、少し違ったイメージになるのではなかろうか。
2013年03月01日
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